はじめに:介護現場の負担を減らす鍵は「情報管理」
介護現場では、記録作業、情報共有、ケアプランの作成、家族対応など、日々膨大な業務に追われています。
「紙記録の管理が大変」「情報共有に時間がかかる」「記録ミスが発生する」――こうした悩みを抱える介護事業者に、**PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)**は大きな助けとなります。
今回は、PHRを導入することで、介護現場の業務効率化をどのように実現できるのか、具体例を交えながらわかりやすくご紹介します。
PHR導入による具体的な効率化ポイント
- 記録業務の簡略化・デジタル化
紙での記録が不要になり、タブレットやスマホで簡単入力。バイタルやケア内容をその場で記録・共有できます。 - 情報共有の迅速化
主治医・ケアマネ・家族間でデータをリアルタイム共有。二重入力や電話・FAXでの確認が減少。 - ケアプランの自動更新・提案
蓄積されたデータから傾向を分析し、AIが最適なケアプランを提案。スタッフのプラン作成負担を軽減。 - 緊急時対応のスピードアップ
服薬履歴や既往歴が一目でわかり、救急搬送時の情報提供が迅速に。
PHRで実現する業務効率化の効果
- スタッフの負担軽減:記録作業の時短化、ミス削減、情報確認の手間が減少。
- コスト削減:紙・印刷・保管コストの削減、業務時間短縮による人件費の最適化。
- サービス品質向上:スタッフがケアに集中でき、利用者満足度向上につながる。
PHRによる業務効率化の実例
記録業務の簡略化で1日30分の業務削減
千葉県内の特別養護老人ホームでは、これまで紙でバイタル記録・ケア記録を残していました。スタッフは1日の終わりにまとめて記入し、データ転記やファイリングに約30分を費やしていました。
PHRシステムを導入したことで、タブレットでその場入力が可能となり、記録内容はクラウドに即反映。複数のスタッフが同時にアクセスでき、情報確認のための時間や電話連絡も減少。
導入後は、1日あたり約30分、月間約15時間分の業務が削減され、スタッフからは「ケアに集中できる時間が増えた」と好評です。
服薬管理ミスをゼロに、家族の安心感向上
東京都の有料老人ホームでは、複数のスタッフが利用者の服薬管理を行っていましたが、紙の記録では確認漏れが時々発生し、ヒヤリハットが問題になっていました。
PHRを導入したことで、服薬スケジュールがデジタル管理され、チェックリストに基づく確認が可能に。スタッフ全員がリアルタイムで確認できるため、管理ミスはゼロに。
さらに、家族が専用アプリで服薬状況を確認できるようになり、「しっかりケアされている」という安心感を得ることができ、クレームが減少しました。の記事では、PHR導入による業務効率化の具体例とその効果をご紹介しました。
次回は、家族との情報共有でサービス価値を高める方法をテーマに、PHRが家族との信頼構築にどう役立つのかを掘り下げていきます。
PHRの可能性を知り、介護現場をもっと働きやすく、質の高いものに変えていきましょう。